誰にでも言える秘密の話

東京 大学生 文学部 20歳 男 短歌、エッセイ、小説、詩

東京の幽霊は靴下に宿る

東京は、コインランドリーが多い。

 

最近は洗濯物が多くなり、仕方なくコインランドリーのお世話になることがあるのだがコインランドリーというのは沢山あり、2番目に近いコインランドリーが乾燥能力が高いため常用している。

 

乾燥機の前には30分くらい座るのに丁度いい椅子がおいてあり、30分座ることにしている。

 

深夜2時の東京は余りにも明るい。24時間営業という利便性が、東京から星を消し去ったと思うとそれは凄く寂しいなと思う。

 

闇はそこそこ好きだ。幽霊はいて欲しいと思っている。

 

この2つを言えば私のパーソナリティは分かる。私の性別や年齢なんか聞かないで欲しい。ただ闇は好きで幽霊はいて欲しいと思っていることだけ覚えて欲しい。

 

闇は好きでさらに言えば映画館、放映のブザーがなり段々と暗くなり、ついには最後の電球が消えたあの闇が好きだ。

 

数秒後に光る目の前のお陰で闇が好きなのは百も承知だがあの闇がずっと続けばいいのにと思うし、ただ息を飲んで目の前の物が光るのを待ち続けるのを初めて経験したのはエジソンなのかなと考えることもある。

 

背中の乾燥機が止まり乾燥物を取り出す。往々にして全てを乾燥しきれている訳では無い。一つ靴下が濡れていたりする。

 

この不完全さが愛らしいのかもしれない。

 

利便性と効率性に特化し続けた東京の唯一の恥部。

 

そんな恥部を大切に洗濯籠の一番上にちょこんと置いた。

 

こいつは帰ったら飾ってやろう。

 

オリンピックのメダルみたいに丁重に。