誰にでも言える秘密の話

東京 大学生 文学部 20歳 男 短歌、エッセイ、小説、詩

スタンプカード

昨日の夜、LINEが来た。

と言ってもよく分からないお店の公式LINEだった。

 

既読を何となくつけてみると、新年営業を開始しましたという旨のLINEであった。そのLINEをしてきたお店の名前を見た時、まるで紅茶に浸したマドレーヌを一欠片口に含んだ時のようにそのお店の記憶が思い出された。

 

 

それは高校二年生のときの話だった。当時の私は束縛の多い高校に通っていて長期休暇で帰っても何も無い福井に飽き飽きしていた。短絡的な快楽を欲していた。そんな事だから無理を言って新宿の河合塾で夏期講習を受けることになった。

 

ほとんど遊び呆ける5日間だったが、一日遠出をしようと思って当てもなく電車に乗った。適当に乗り換えて適当に降り立った場所で適当に歩いた先にあった喫茶店に入った。適当にパスタとデザートを頼んで帰った。その際に公式LINEを追加すれば100円引きという文字をみてLINEを追加したのだった。

 

もう一度その喫茶店に行きたくなった。

調べてみると西葛西駅の近くにあるお店だった。

電車で30分揺られていざ駅におりたってみると道を覚えていた。

4年前と違って風が強かった。あの時は夏だったから相当暑かった。

 

お店に入ると4年前に接客してくれた人ともう1人の店員さんがいた。4年前と変わったなと思った。4年前に食べたチョコレートケーキは変わらずにまだ残っていた。

 

 

ご飯を食べ終わって会計を済ませる時、店員さんにスタンプカードは作りますか?と聞かれた。

断ろうと思った。嵩張るだろうしそんなに財布のカード入れに余剰はない。

しかしながらLINEの通知が私をここまで連れてきたことを思い出した。

またこのスタンプカードが私をここに連れてきてくれるかもしれない。

またはこの日記のようなブログが連れてきてくれるのかもしれない。

 

500円毎に一つ溜まるというスタンプカードにちょこんとひとつ押されたスタンプを見て、このスタンプが何個溜まるのか楽しみになった。