誰にでも言える秘密の話

東京 大学生 文学部 20歳 男 短歌、エッセイ、小説、詩

成人式

今日は成人式らしい。

まだ私は19歳なのに成人になる覚悟を決めろと言われるらしい。

それはあまりにも酷だなと思った。

 

成人になる事は目出度いことでも何でもない。もう庇護下にはいれないということだ。責任を持つということだ。死に一歩近づいたということだ。

 

そんなことを言っても私も19歳最後の夜は期待をしながら目を瞑るのだろう。

20歳になったら何かが変わると。

そしてきっと絶望と共に20歳最初の朝を迎えるのだろう。

 

時間が物事を解決するなんて言うのは嘘だ。全て痛覚を鈍化させるだけで悪夢のように忘れた頃にやってくる。

自分の心に刺さった棘を放ったらかしにしていても痛みに慣れるだけだ。

痛みを覚悟して棘を抜くしかない。

血がドクドクと流れるだろうが恐れてはいけない。

血はやがて瘡蓋となりその瘡蓋が気付かぬうちに剥がれ落ちる。

その時に私はそっと言うだろう。

 

成人おめでとう、と。